コラム

東大生が数学『因数分解』に学ぶマネジメント・リーダーシップ論

更新日:

勉強や学びは、他の分野に応用できます。

私が高校生時代に戻ったら、勉強で得た方法論でサッカーもずいぶん上手くなっていただろうに、と思ってしまいます。

方法論が学ばれることこそが、大切だと考えます。

今回は、勉強の中でだれもが学ぶ数学の『因数分解』を、

  • CEOオフィス@NYでのインターン経験
  • 合唱指揮者やバンドリーダー経験
  • サッカーの部活経験
  • 文化祭・体育祭運営の経験
  • 飲食店でのアルバイト経験
  • その他もろもろの本・書籍などから得た学び

などと応用し、マネジメント論とリーダーシップ論を展開してみたいと思います。ただの1人の大学生の考えですが、お付き合いいただければ幸いです。

【総字数:7300字】
【最終更新日:2016-02-05】

1. 数学の因数分解は、問題をカンタンにする

マネジメント リーダーシップ 東大生

まずは数学の因数分解について、他の分野に応用できるように再定義したいと思います。

1-1. 因数分解とは

そもそも、因数分解とは、『カンタンな基本要素(因数・factor)に分解すること』ですね。カンタンにいえば。

たとえば、以下のように。

  • (Xの2乗)+5X+6 = (X+3)(X+2)
  • 35=5×7

複雑なものを、カンタンに捉えることができるわけです。

1-2. 因数分解で計算をカンタンにする

因数分解を使えば、計算をカンタンにすることができます。
たとえば、4700×5300を計算しましょう。パッと見れば、大変ですね。

しかし、1つ1つの数を、カンタンな要素に分解すれば、

4700=47×100=(50-3)×100
5300=53×100=(50+3)×100

4700×5300
=(50-3)×100×(50+3)×100
=(50+3)(50-3)×100×100
=(2500-9)×10000
=2491×10000
=24910000

このように計算できます。ここで、注目すべきは、
『4700×5300』という『4ケタ×4ケタの複雑な計算』を
『2500-9』という『4ケタひく1ケタのカンタンな計算』に分解している点です。
(※10000は位が変わるだけですので、『計算』にはふくめていません。)

ポイントは3つ。

  1. 53・47ともに、50から3足した・引いた数という共通点を見つけ、分解に利用した
  2. 100は後で考えても計算に影響しないため、省いた
  3. 結果として、難しい問題がカンタンな問題へと変化し、解くのに必要な力が小さくなっている

ここから、因数分解の再定義ができます。

1-3. 因数分解の再定義

因数分解は、『大きな問題を分割・分配して、カンタンな問題にすること』と再定義できます。

より大きな問題(4700×5300)を、カンタンな要素に分割((50-3)×100, (50+3)×100)し、計算能力の負担を各要素に分配、全体として問題をカンタンな問題((2500-9)×10000)へと変えています。

この因数分解から学ぶことは多く、複数人で目標を達成するようなチーム・グループ・組織における、マネジメント論・リーダーシップ論にも応用できるのです。

現役の高校生であれば、部活・委員会・文化祭・体育祭を、大学生であればサークル・バイトメンバー・インターンなど、社会人であれば会社・家計を思い浮かべれば、分かりやすくなるかと思います。

以下、それら『目標に向かう複数の集まり』を表すのに、便宜的に『組織』という言葉を使います。

2. 因数分解に学ぶ、マネジメント論

マネジメント リーダーシップ 東大生

まずは、因数分解に学ぶマネジメント論です。

2-1. 組織は、大きな問題を分割・分配するツール

組織は、大きな問題を分割・分配するツールだと言えます。

くわしくいえば、『ミッションや目標という大きな問題を、カンタンな要素に分割し、それぞれのメンバーに分配、1人1人の仕事負担の量を減らし、目標を達成する可能性を高めるツール』です。

「この目標は大きすぎて大変だ。だからみんなで協力してやろう」というわけですね。

組織化というツール自体が、因数分解というツールと同じだと言えます。

なぜ、目標達成のために、組織化する必要があるのでしょうか?

2-2. 一人ひとりができる仕事は限度がある

ここで、とても残念なお知らせがあります。

私たち人間は、1人だけではたいして大きなことを達成できません。

一人ひとりができる仕事には、限度があるのです。

「体育祭、きみがぜんぶやってよ」
ムリです。色々やるべきことはありますが、最低でも『当日体育祭に参加する人』がいなければなりません。(笑)

「東大合格まで、ぜんぶ1人でやってよ」
ムリです。物質的にも精神的にも、家族や友人の支えがなければ困難を極めます。

2-3. 組織化することで、大きな仕事ができる

マネジメント リーダーシップ 東大生
いっぽう、組織化すると、どんなメリットがあるのかというと、

組織化によって大きな仕事・1人ではできない仕事を達成することができます。

2-3-1. 組織例1. 原始人 vs ゾウ

原始人が、ヤリを持って狩猟でゾウをしとめるシーンを世界史のテキストで見たことがある人は多いでしょう。

人間1人では、ゾウは倒せません。しかし、組織で取り組めば、ゾウを倒すことができます。

組織化は、人類の歴史において、はるか昔から見られるわけです。狩猟の次、農耕ともなれば、さらなる組織化が必要になります。

現代の高校生でいえば、部活がもっとも分かりやすい例でしょう。

2-3-2. 組織例2. サッカー

サッカーでいえば、『点を取る』という目標のため、点を取るまでの流れを分割し、FW・MF・DF・GKとポジションと役割を分配しています。

その分配は、監督という『役割』を担う人が担当すると考えれば、監督自身も1つの分配先です。

2-3-3. 組織例3. 合唱

文化祭の合唱でいえば、『より完成度の高い合唱をする』という目標に向かい、声域ごとに担当パートを分配するために、ソプラノ・テノール・アルト・バスへと分割します。

指揮者はまとめる役割という意味でも、1つの分配先、サッカーの監督と同じです。

このように、組織化することによって全体として大きな仕事がしやすくなるわけです。

2-4. 組織化=因数分解で、一人の仕事は小さく、全員の仕事は大きく

マネジメント リーダーシップ 東大生

なぜ、組織化して仕事を分担すると、達成しやすくなるのでしょうか?

一人ひとりでは限度がある仕事の量と質を、小さく細分化され分配された仕事に集中させることができるからですね。

何かを達成するためには、集中がキーワードになります。

よくいわれる『集中力がある』という表現は、『精神・意識の集中』であり、ここでいう集中はもっと広い定義、つまり『取捨選択』という意味での集中も含まれます。

2-4-1. 集中例1. サッカー

サッカーのFWは前線でゴールを狙い、GKはゴールを守ります(ざっくりいえば)。

FWが味方ゴール前でシュートを防ぐ役割はなく、GKが相手陣にのりこんでシュートを決める役割は、通常、分配されていないわけです。監督は、試合に出ることはなく、采配に集中します。

2-4-2. 集中例2. 合唱

合唱のソプラノは高音域、バスは低温域。

バスがソプラノクラスの高音域を担うことは、通常ありません。指揮者は唱わずに指揮に専念し、伴奏のピアノは演奏に専念します。

2-5. 分配と集中のメリット

分割された仕事を各メンバーの役割ごとに分配し、その仕事に集中させることで、一人ひとりの仕事の限度はあっても、全体としては質・量ともによりレベルの高いものを実現することができるわけです。

因数分解を使って、4700×5300という『より大きな問題』を(2500-9)×10000というカンタンな問題にできたように。

以上が、因数分解から学ぶマネジメント論になります。

ここで、重要な視点が1つあります。『リーダー』の存在です。『まとめ役』のことですね。

以下、因数分解に学ぶリーダーシップ論を展開していきます。

3. 因数分解に学ぶ、リーダーシップ論

マネジメント リーダーシップ 東大生

因数分解をリーダーシップに応用したら、どのように考えられるでしょうか。

3-1. リーダーに求められるのは、的確な分割と分配

リーダーに求められるのは、分割と分配を的確に行うことです。

因数分解でいえば、4700×5300を、(50-3)×100, (50+3)×100という要素に分けたことですね。

ここで必要になるのは、47=50-3、50=50+3という視点。すなわち、

『大きな仕事をどのように各メンバーに分割・分配するか』

という視点です。

ここを間違えてしまうと、解ける問題・できる仕事も達成できなくなってしまいます。

47=49+1, 53=60-7などと分割してしまうリーダーは、リーダー失格なわけです。

リーダーによっては、47=40+7, 53=60-7と分解するかもしれません。これでも、2400-49という簡略化が行われますが、2500-9よりも『引く側の位』が1つ大きいため、分配の仕方としては最善ではありません。しかし、仕事はだいぶ簡略化されているので、リーダーとしての役割は果たしています。

『2500-9リーダー』よりも、『2400-49リーダー』はすこし未熟だと言えるかもしれません。

このように、リーダーに求められるのは、『大きな仕事をうまく分割・分配する能力』なのです。リーダー=『マネジメントを担う人』とも言えるでしょう。

※ここで気をつけたいポイントは、リーダー自身、あくまでも役割だということ。管理=マネジメントを担う役割にしか過ぎないわけです。全体を統括する立場から、偉いように思われがちですが、それを担える人が貴重なだけであって、あくまでも役割の1つにしか過ぎないことに気をつけたいものです。

私は初めてのリーダー経験は小学校時代でしたが、おごりたかぶって散々な失敗を経験し、反省、中学・高校・大学と改善してきました。(笑)

3-2. それぞれのメンバーに適切な仕事量と質を見極めるには?

マネジメント リーダーシップ 東大生

リーダーは、それぞれのメンバーに小さく分けた仕事を振り分けなければなりません。

しかし、それぞれのメンバーには個性とでも言うべき能力の違いがあります。てきとうに分配していたのでは、いくら小さくして実現しやすくなった仕事とはいえど、そのメンバーに最適の仕事でなければ実現可能性は少なくなってしまいます。

『適材適所』という言葉があります。個人の資質それぞれを、適した仕事に配置するわけです。大きな仕事を達成するために、リーダーには『適材適所』を実践する必要があります。

3-3. 人の強みを見抜く力が欠かせない

このことから、『メンバーの資質を見極める力』、ひらたくいえば、『人を見る力』がリーダーに必要とされるわけです。

これは大変なことです。自分のことすら分かっていない人が多いなかで、他人の資質(得意・不得意・気質・人間関係・社交性など)を見極めなければいけないのですから。

リーダーがどれだけ貴重な存在かが分かります。

では、現にリーダーの役割を担う人、これからリーダーを担いたい人はどうすればいいのでしょうか?

人を見抜く力には、前提のなる能力があります。ここでは、そのうちの最も大切な1つを紹介します。

4. 人の強みを見抜く、前提となる能力

マネジメント リーダーシップ 東大生

私の2つの体験をもとに、説明していきます。

4-1. 合唱の指揮者での失敗

マネジメント リーダーシップ 東大生

中学時代、音楽が好きな私は文化祭でクラスの合唱の指揮者に立候補しました。

それからというものの、毎日毎日、楽譜とにらめっこの日々。当然です。ピアノをかじっていたとはいえ、右手でメロディ・左手で和音が弾ける程度。4パートもの楽譜は全然読めなかったのですから。(笑)

練習にあたり、各パートにパートリーダーというものをおきます。しかし、私は、何を勘違いしたのか、『私1人でなんとかしなければいけない』と心のどこかで考えていました。初めての経験で、責任感を感じ過ぎてしまっていたこともあるでしょう。私は作品の理解とメンバーへの共有、各パートリーダーとの連携、全体の完成度の向上などに集中するべきだったのです。

ここで欠けていたのが、各パートリーダーとの連携。もちろん、連携してはいましたが、各パートリーダーに何を任せればいいのか理解していなかったのです。パートリーダーといえば、指揮者の次の階層にあるリーダーです。私のような未熟な指揮者は、全メンバー40人に直接影響力を使うことではなく、パートリーダー4人に対して影響力を使うべきだったのです。

もっと言えば、各パートリーダーとコミュニケーションを効果的にとり、各パートリーダーがパートのメンバーに対してどのような仕事ができるのか、望ましいのか、話していくことが必要だったわけです。

しかし、各パートリーダーにたいして適切な指示・仕事分配ができていませんでした。リーダーに求められる、『的確な分割と分配の仕方』が分からなかったわけですね。

結果、1年前に同じクラス・違う指揮者では取れた金賞を、自分の年では逃してしまいました。もちろん、クラス全員に対し、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

しかし、当時はなにが必要だったのか、わかりませんでした。つぎに説明する、インターンでの経験から、はっきりと明確に理解できたのです。

4-2. NYでのインターンでCEOから学んだこと

マネジメント リーダーシップ 東大生

大学1年生の夏、とある企業のニューヨーク本社のCEOオフィスでインターンを経験しました。

CEOといえば、チーフ・エグゼクティブ・オフィサーの略称で、日本語では『最高経営責任者』と訳されます。日本企業では社長がこの役割を担う会社が多いため、ひらたくいえば、『CEO=社長』といえるでしょう。

インターンの内容は、CEOオフィスに2週間いて、CEOと最大限ともに過ごし、CEOの仕事ぶり・マインド・考え方などを肌で感じ取ること。経営・財務・企業買収に関する会議や、各国代表とのオンライン会議なども参加して学ぶことができました。もちろん、会議はすべて英語です。

アメリカ・ヨーロッパ・アジアへと展開するグローバル企業本社のCEOです。学ぶことはあまりに多く、たいへん充実した2週間でした。

これほど恵まれたインターンは、どの大学を見渡してもなかなかありません。採用された私は幸運だったと言えるでしょう。

当初、CEOといえば、社長。いかにも偉い人を想像していたのですが、良い意味で期待を裏切られました。

厳しいところはもちろん厳しいのですが、フランクで、各役員はもちろん、各従業員にたいしてもフレンドリーなのです。だれよりも、コミュニケーションを大事にしていました。

詳細は省略しますが、CEOのフレンドリーな人柄が社内の雰囲気に表れているのが感じ取れました。その結果、各メンバーはやる気をあげ、CEOのためにと思い、精力的に活躍することができるのです。『このレベルでは、CEOに見せられない。もっと練り直そう』と、より良いものにしてから提出するのです。CEOが各メンバーに信頼されているのが伝わってきました。

コミュニケーションが、前提として大切なのですね。人を見抜く力を養うためには、まずその人を知ることが欠かせないのです。

私に足りなかったのは、このコミュニケーションなのだと痛感しました。それ以降、人とのコミュニケーションを大事にし、相手を理解しようと努めること、相手の個性を認め、大切にすることなどを意識して生きています。

現在、部活などでリーダーを担う役割にある人は、このコミュニケーションという視点を大事にしていって欲しいと思います。

5. まとめ

まとめです。

今回は、因数分解をマネジメント論とリーダーシップ論に応用しました。

1. 因数分解の再定義:

  • 『カンタンな基本要素(因数・factor)に分解すること』
  • →『大きな問題を分割・分配し、カンタンな問題にすること』

2.因数分解に学ぶ、マネジメント論

  • 組織は、大きな問題を分割・分配するツール=因数分解
  • 一人ひとりができる仕事は限度がある
  • 組織化することで、大きな仕事ができる
  • 組織化=因数分解で、一人の仕事は小さく、全員の仕事は大きく
  • 分配と集中のメリット

3. 因数分解に学ぶ、リーダーシップ論

  • リーダーに求められるのは、分割と分配の仕方
  • 分配には、人の強みを見抜く力が欠かせない
  • 人の強みを見抜く、前提となる能力
    コミュニケーションが大切

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Mao Nishi

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指導歴4年の個別指導講師。オンライン真学塾24主催。中学生から社会人まで個別指導のみで50名以上を指導。現在は難関大学の英語指導とコーチングをメインに、毎日=24時間が学びや成長に結びつく指導を心がけている。東大模試でE判定・偏差値37から、自宅浪人で東大合格後、休学してヨーロッパに単身バックパッカー旅へ。復学後はNY本社のIT系グローバル企業CEOオフィスでインターンを経験。帰国後、2年間大学で学び起業。現役東大生。⇒Mao Nishiの合格体験記⇒『0から東大合格を目指す5日間講座』⇒『オンライン真学塾24』⇒お問い合わせ
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